ちょっと詳しく放射線

放射線教育のポイント

中3の教育課程に準拠した学習の場合

中学校において2021年度から完全実施される学習指導要領では、2年生と3年生で次のような放射線に関わる学習が行われます。
【2年生】真空放電と関連させてX線に触れ、同じ性質を持つ放射線の存在とその利用に触れる
【3年生】原子力発電のしくみや特徴を理解させる中で、放射線は核燃料から出たり、自然界にも存在するな
ど、さまざまなものから出ていることに触れる
ここでは、学習指導要領に示された指導内容をもとに、放射線に関する学習を中心に、
指導のポイントとガイドブックの該当ページを記載しています。

学校向け放射線教育支援のご案内

中学校学習指導要領解説 理科編(抜粋) 【第1分野】 科学技術と人間:エネルギー⇒エネルギー資源

(各授業時間50分)

学習指導要領の具体的な内容と指導ポイント 該当ページ

真空放電に伴い、X線が発生している
  • 真空放電の際には目に見えない電磁波も発生している。
  • 電磁波の一種にX線やガンマ線がある。

P3〜4

透過性を持つ放射線
  • アルファ線、ベータ線、ガンマ線などさまざまな種類がある放射線のうちエックス線、ガンマ線は、赤外線、可視光線、紫外線などと同じ電磁波の仲間である。
  • 放射線にはエネルギーを持つ高速の粒子で粒子線と呼ばれるものがある。
  • 放射線には物を透過する作用、電離させる作用があり、
    これらの作用は、放射線の種類やエネルギーによって違う。

P3〜4

放射線は医療や製造業などで利用されている
  • 放射線の持つ高い透過力やエネルギーは、医療をはじめ、農業、工業など身近な多くの分野で利用されている。

P19〜20

3年生
原子力発電で使われるウランなどの核燃料は放射線を出している
  • 放射線と放射能、放射性物質は、それぞれ意味が異なる。
    また放射能と線量を表す単位は異なる。
  • 放射線を出す能力は時間とともに減衰し、放射能の量が半分になるまでにかかる時間を「半減期」といい、その時間は放射性物質の種類によって決まっている。
    これは、加熱や圧力、衝撃、電磁波などの手段で変えることはできない。

P5〜6

P12

放射線は自然界に存在し、身の回りのさまざまなものから出ている
  • 自然界の放射線は宇宙誕生以来あるもので、人類は昔から自然界の放射線(自然放射線)を日常的に受けている。
  • 身体に受ける自然放射線の量は地域、場所、条件などによって異なる。
  • 日本人は自然放射線を年間約2.1ミリシーベルト、医療で放射線を年間約3.9ミリシーベルト受けている。放射線の影響は、自然放射線も人工放射線も変わらない。
  • 自然界に存在する放射性物質を、呼吸や食品摂取によって体内に取り込んでいる。

P7〜8

P9〜10


発展学習の場合

ここでは、学習指導要領で扱われている内容に加え、放射線が人体に及ぼす影響についての指導のポイントと該当ページを記載しています。

中学校学習指導要領解説 理科編(抜粋) 【第1分野】 科学技術と人間:エネルギー⇒エネルギー資源

(授業時間50分)

学習内容と指導ポイント 該当ページ
放射線が身体に与える影響
  • 放射線を受けると遺伝子(DNA)は傷つくが、人体の持つ修復機能により回復する。
    ただし、多量に放射線を受けると身体影響が発生する。
  • 身体影響には、被ばく量の増加とともに重症度が増す「確定的影響」と発症確率が増える「確率的影響」がある。
  • 身体への影響は、体細胞、生殖細胞、胎児への被ばくによって異なる。

P13〜14

放射線が健康に及ぼす影響
  • 放射線量と身体影響の関係については、これまで実施された多くの調査・研究結果等からいろいろなことが判明しており、それをもとに安全基準が作られている。
  • 一般公衆、放射線業務従事者の年間線量限度は、十分な安全を確保するため法律によって定められている。

P15〜16

放射線とがん
  • がんの発生要因には放射線以外にも大気汚染、生活習慣(喫煙、大量飲酒、運動不足等)など日常生活のさまざまなものがあり、要因を特定することは困難である。
  • これまでの知見から、放射線によるがんの死亡率は100ミリシーベルトでは一生涯で0.5%増加し、これより少ない線量では増えるとも増えないともいえない、と結論づけられている。
  • 放射線がDNAを傷つけることは発がん要因の一つになるので、被ばくを少なくすることは重要である。

P17〜18

内部被ばくと外部被ばく
  • 放射線を受けることを「被ばく」といい、呼吸や食べ物によって体内に取り込まれた放射性物質による「内部被ばく」と、体の外から放射線を受ける「外部被ばく」がある。
  • 体内に入った放射性物質は、「物理学的半減期(一般的な半減期)」と排泄などによる「生物学的半減期」の両方により時間とともに少なくなるため、放射線量は減少していく。
    「物理学的半減期」は変えることができないが、「生物学的半減期」は水分や食物、薬の摂取などで変えることができる。

P11〜12

このページTOPへ